手術してから次の日について

絶対安静、という名の自堕落っぷり

入院してから翌々日になり、その日から本格的な筆者の入院生活が始まりを告げた。それは1日ぶりの食事において実感させられます。腰を手術するということ、それはつまり起き上がることすら不自由になるという意味だ。また今まで何を気にするわけでもなく行っていた動作も、手術痕のある腰から来る痛みでまともに動かすのも容易ではなくなります。そのため食事すら過酷な重労働でキリキリ働かされている働き蟻のような思いになった。どこぞのブラック企業で死ぬまで働かされるような辛さとでも言えばもっと分かりやすいか、なんとか食べ終わった頃には色々な意味で疲弊しきったものです。

手術をする、この意味がようやく理解した時には自分の置かれた立場も把握した。何をするにしても看護師さんの手を借りなくては出来ないので、自分で出来ない歯がゆさを覚えます。ただ尿については尿管というものが挿入されているので、漏らすことはありません。便についても看護師さんに言えば対処してくれるそうですが、何故か数日間出なかったのでお世話になることはなかった。ただ起き上がれる最終日にちょっとした事件があって別の意味で申し訳なかったと感じる事態もあたったが、それはまた別の話。

ただ一点、気にしなくていいことといえば個室に置かれている状況だった。お金を払わずに使え、更に人の目を気にすることなく静かな時間を過ごせることの喜びを覚える。その状況が良かったのかどうか、今となっては良かったなぁと思いましたが入院当時はこんなことを考えた。『あぁっ、ニートってこんな感じなのかな』と。 別にニートではないのだが、何故か病院で絶対安静で何もしなくても良い、という状況が筆者の考えを奇天烈な方向に奔らせた。おまけに腰が動かないから寝っぱなしとあって、ひたすら持ち込んだスマホでゲーム、携帯ゲーム機でゲームの時間を過ごします。

遊んでいるだけに見えますが、それ以外でもきちんとベッド上で出来る努力はしていた。

寝続けることのリスク

入院生活の折、考えたらいけないのだがいつかやってみたい理想的な時間を過ごしたいという願望をこの時叶えた。その願いとは『ずっとベッドの上で寝続けたい』というもの。ダメ人間の発想ですが、そうせざるを得ない強制的な状況ではありましたが、実現できたので妙な達成感もありました。ただ同時に思ったのは、寝ているだけの時間が及ぼす身体的負担を改めて理解させられます。

今回の入院生活で絶対安静になりましたが、この時病院から何度となく注意されていた事があります。腰の手術をする患者だけでなく、全ての人に共通していますが『ベッド上での足の運動を欠かしてはならない』という点だ。動けない人もいるのに足の運動とは可笑しくないかと嘲笑う人もいるでしょう、しかしこれは必要不可欠なのです。筆者はおよそ5日間程絶対安静を強いられましたが、いざ起き上がろうとしてみると恐ろしいくらい立つことが困難に感じたのだ。誇張している訳でもなく、冗談で言っている訳でもない、紛れも無い事実なんです。

また足の運動をする事は、『深部静脈血栓症』という術後に起こるかもしれない病気をもたらしてしまうのだ。この病気について簡単に説明すると、

血液の循環が悪くなり、血の塊が足の表面だけでなくより深い部分で流れている静脈を塞いでしまう状態

を意味している。予兆として足のむくみやふくらはぎ痛などが発生し、やがて血栓がはがれて肺の血管を詰まらせる『肺塞栓症』という危険な病気に繋がってしまうのだ。

絶対安静と言えど、最低限しておかないと行けないのが足の運動だという。看護師さん曰く、高齢の患者さんになるとこうした病気になりやすいとも話しており、それを防ぐためにも病院指定のストッキングを履くことで状態を防ぐ方法もあるという。実際、筆者もそのストッキングを履いて足をこまめに動かしていた。流石に立った時に歩けなくなっていたでは、退院の時期すら遅れてしまうので洒落になっていない。

腰も頻繁に動かして

足もそうだが、同じ態勢を継続させすぎていても身体に良くない。特に腰を労るためにも、時折ベッドの柵を掴んで右に左に、動いて浮かせる運動をしていた。これは床ずれ防止も兼ねたものだが、動かす時に痛みも若干走るので中々辛い。

足を動かし、腰も動かし、更に座る態勢に慣れるためにベッドアップするなどもしていたので、実は休まる暇はなかった。ただこれも個人のペースに合わせてのことだったが、一番答えたのはベッドアップ時。手術をして痛みがあって座る姿勢になるだけでズキズキと痛みが身体を駆け巡るので、既にリハビリをしているような感じだった。入院生活って大変なんだなぁと、起き上がって退院まで短く出来るのも本人の努力次第だというのも分かった。

個室という魔窟

こうして話すと大変だったと思いますが、数日間の中でそれを行うのは一日数時間程度だ。長いと思うかもしれませんが、筆者はそうしている間でも何かとゲームをして過ごすなど、かなり悠々自適に過ごしています。それよりも個室という開放的な空間にあったので、本来ならイヤホンをつけなくてはならないところを音量マックスでゲームをしていたくらいだ。後になって看護師さんからも『個室なんで大丈夫ですよ』とお墨付きをもらっていたため、気にせず楽しんでいた。

そして食事の時間も何とか起き上がって食べていくが、普通に美味しい病院食に満足しながらゲームをし、オマケに深夜まで起きているという悪態ぶり。相部屋なら考えられないところですが、個室だとそういった制約も少しだけ緩いのか、看護師さんも強くいうわけでもなかった。行けないことなんですが、寝ているだけでとにかく暇だったので死ぬほど退屈だったのもあって無性に『遊んでいた数日間』だった。そして再度思った、『あっ、今の自分って絶対ダメ人間だ』と。

個室での生活も終わり

そんな楽しい(?)時間を過ごした個室ともおさらばする時間がやってきた。その日は遂に起き上がって歩行訓練を兼ねたリハビリが始まる日でもあった。正直この日を待ち望んでいた思いもあった、最初の二日間くらいはこのままでも良いかもしれないと考えたが、段々と起き上がれない不満やらが募っていた。絶対安静、それはつまりベッドから起き上がれない状態なわけですが、この間はお風呂にはいることも出来ない。そのため自然と不潔になってしまうわけで、この状態に対してストレスを覚えていったのだ。

やっと起き上がれる、それと同時に思ったのは『これ以上食べたら絶対太る!』というもの。病院食を食べていればそんなことはないと思うかもしれませんが、起き上がれない上食事が美味しい、そのせいで毎食完食してしまった。誰に言うわけでもなく『入院したら痩せるなんて嘘じゃん!』と嘆きを心内で叫んだものです。ちなみに筆者が退院することに計測してみると、1kgくらい増えていたのは余談だ。

知っておきたい、入院から退院までの流れ